Agfa OPTIMA 1535の修理
- 宮越写真機修理店
- 6月21日
- 読了時間: 4分
更新日:7月5日

1979年発売の「Agfa OPTIMA 1535 sensor」です。
先回の1035に続き1535を投稿させていただきます。
Agfa OPTIMAのご依頼では流通台数の多い1035がご依頼数も多く、1535は中古価格も高いだけにちゃんと整備された状態で使用したいお客様からご依頼いただく印象があります。
sensor electronicシリーズはレンズの開放値やシャッターの最高速などの違いで
F3.5 1/300の OPTIMA335
F2.8 1/500の OPTIMA535
F2.8 1/1000 セルフタイマー付きの OPTIMA1035
F2.8 1/1000 レンジファインダー搭載の OPTIMA1535
F2.8 1/500 ポルトガル製の OPTIMA 無番
F2.8 1/1000 内蔵ストロボ搭載の OPTIMA flash
の6種類があります。
その他レンズ構成は基本的に同じですが、コーティングとその組み合わせに違いがあり、レンズ名もAGNATAR SOLITAR SOLITAR S と異なっています。
また、OPTIMAは一般的にはブラックのカメラしか目にしませんが、535には他に、白、緑(オリーブグリーン)、茶色までのカラーバリエーションが確認出来ています。
ホワイトとオリーブはネット検索でも画像を探せると思うので興味のある方は検索されてみてください。
1535はレンジファインダーが搭載され大型化されたファインダーが特徴となる最上位機種で、当時日本に輸入されていなかったモデルとなっており現在でも中古流通数が少ないながら大変人気があります。

どんなカメラでも過去に不慣れな分解がされた跡があることは珍しくありませんが、OPTIMA1535でもやはり同じです。
不十分な分解により、外装を固定するネジの台座が折れていることもありますし、配線の修理にチャレンジした際に半田の熱でプラスチックが溶かされている個体もあります。
破損が電池室に限定しているなら救いがありますが、OPTIMAでは接点がボディに取り付けられているため、簡単にボディそのものが溶けてしまいます。
そういったカメラを引き当ててしまいご依頼いただくこともありますが、残念ながら溶けたボディは修復できないため、交換を含めた修理となってしまいます。
配線の交換は当店でも日常的に行っていますが、プラスチックを溶かすことは絶対といっていいほどありません。

※写真は1035を例にしておりますが1535でも同様です。
溶かされてボディ(上)と、当店で配線交換した際の写真(下)
また、レンジファインダーの1535では、当然二重像調整も修理項目となります。
調整には専用の工具が必要となっているため、ここでも無理にいじられたカメラは、
素直に調整に入れずに余分な修理が必要となってしまいます。

経年劣化や使用経緯の中でのやむを得ない故障とは違った、おかしな状態のカメラは増える一方のため、そうと知らずに購入されたお客様が一番の被害者となっているのが現状です。
もちろん正常な状態に修理を行っていますが、作業する側も何のための修理なのか考えてしまいます。
自然な故障としては、多い事例ではありませんがコマ間隔の異常も一例にあります。
OPTIMAはフィルム室の形状から、フィルムをダークBOXへ送り込んでいるように見えますが、送り込むのは最初だけで、ダークBOXの中でスプールがフィルムをしっかり絡め取ったあとは、一般的なカメラと同様にスプールがフィルムを巻き上げていく構造となっています。
スプールはスプロケットよりも回転角が大きく設定されており、多く回転するスプール軸にOPTIMAの場合では多板式の滑り伝達を介してスプールのドラムが取り付けられています。
巻き上げ時にフィルムは過分に引っ張られながら、スプロケットではパーフォレーションを捕らえて送り量を制限し、綱引き状態となります。その差分が滑り伝達でキャンセルされ、テンションのかかった状態でフィルムが巻き上がっていく仕組みとなっています。
フィルム装填の失敗を除いて、解決しないコマ間隔異常はスプロケットのキー溝の摩耗かスプールの不具合となっています。


年々こうした確認箇所が増えているため、作業に要する時間の増加も地味に問題となっています。
出かけて行った地方でカメラ店様にお話をお聞きすることもありますが、
決まってジンクスがあり、
「○○さんは腕が良かったんだけど、修理に凝り出しちゃってさー」とか
「△△さんは自前で部品作りだしてからダメになっちゃったんだよね」と
全てでないことは当然ですが、店を閉められた修理店の原因の一つに共通点を含んでいるようにお聞きすることがあります。
作業時間ばかりかかって、うちもその気があると笑ってはいられませんが、
丁寧さと所要時間の問題は修理店の永遠の課題なのかもしれません。
同シリーズのAgfa OPTIMA 1035をはじめ、ご依頼いただいたお客様のご感想を掲載させていただいております。
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