Agfa OPTIMA 1035の修理
- 宮越写真機修理店
- 6月13日
- 読了時間: 5分

【Agfa OPTIMA 1035 sensor】
フィルムメーカーとしても有名なAgfaのコンパクトカメラです。
OPTIMAシリーズも数多くありますが、このsensor electronicシリーズも
OPTIMA335
OPTIMA535
OPTIMA1035
OPTIMA1535
OPTIMA 無番
OPTIMA flash
の6種類があります。
その中で今回のOPTIMA1035は1976年の発売のモデルです。
最長15秒から最高1/1000のプログラムAEカメラです。
レンズシャッターで1/1000はあまり見かけない数字ですが、このOPTIMAは絞り羽根とシャッター羽根を先幕と後幕のように使うことで高速シャッターを実現しています。
シャッターチャージにより全閉されていた絞り羽根が、レリーズと共に開いて露光が始まり、開いた状態で保持されていたシャッター羽根が秒時に合わせて閉るという仕組みです。
レンズ周囲の銘板にあるようにPARATRONICシャッターと名付けられているAgfaのシステムです。
アグファのオプティマシリーズは1959年のOptima(オリジナル)から続いたアグファの自動露出カメラシリーズです。
1959年の発売のOptima(オリジナル)は世界初の全自動カメラと言われています。
全自動と言ってもセレンによる自動露出カメラの事ですが、今から60年以上も前の事です。
デザインを変え、性能を進化させながらoptima200sensorと共にそれ以降Agfaカメラの特徴となる赤い大きなシャッターボタン(センサーレリーズ)が登場しました。
sensor electronicシリーズはその次のオプティマシリーズになります。
さらにコンパクトにデザインも洗練され、今見てもとても40年以上前のカメラとは思えないモダンなデザインです。
70年代終わりからブラックのボディに目立つ差し色をしたカメラデザインが流行りますが、センサーレリーズボタンを伝統としてきたAgfaはそこでもその元祖と言えるかもしれません。
代表的な例ではOLYMPUS XAもそう言ったデザイン路線で1979年に登場しました。
一般的なシャッターボタンと違い押下のストロークが短く、ボタン自体の面積の広さから、OLYMPUS XAと同様に電子的なレリーズボタンと思われることもしばしばですが、OPTIMAのセンサーレリーズは機械的にシャッターを作動させるボタンです。
そのため電池が無くてもシャッターを切ることはできますが、制御は電子式なので実際にはシャターは開口せず、露光も行われません。
シャッター音も特徴的なカメラです。
通常のカメラのような「カシャ」という音では無く「ジッ」という不思議な音が出ます。
これは巻き上げと同時にチャージされた作動プレートがレリーズ時にシャッターを作動させながら定位置に戻るまでの間、ガンギ車とアンクルで動きが減速されていることにより出ているガバナー音です。
機能的に言えばレリーズガバナーとでも呼ぶ機構になります。
1035ではレリーズガバナーのガンギ車をさらにセルフタイマー用ガバナーを連結させることで一定時間レリーズを遅らせてセルフタイマー機能を持たせています。

写真中央) 白い歯車がレリーズガバナーのガンギ車

左)セルフタイマーガバナーの付いた1035の巻き上げユニット
また、フィルムの巻き上げはラピッドカメラからの発展形式となっており、フィルム室の片側にはダークボックスを備えています。
ダークBOXの内部には巻き取り用のスプールが設置されており、送り込まれたフィルムはスプールが絡め取りつつ巻き上げが行われます。
そのためフィルム装填はフィルムの端をダークBOXへ差し込むだけで完了できる優れたシステムです。
搭載されているSOLITARレンズが本当に良く写るレンズで、個人的にも1535を好んで使っていますがこれに代わるカメラを見つけられないでいます。
カメラの構造的にはシャッターや巻き上げ機構はユニット化されており、販売当時は修理パーツもユニットで供給され、交換修理が可能でした。
当店でも当時の部品を保有しておりますが、現在では資料として保管を行っております。
半世紀近く未使用のユニット単品よりも、組みあがった状態で作動の確認できる保有カメラの方が使い勝手が良いのが実状です。

また、ユニットを交換すれば済んだのは残念ながら当時の話しです。
現在では交換ユニットも同じ年月を経たデッドストックに変わりありません。
カメラ各部は更に細かく経年の整備が必要なため、特にプラスチック部品は摩耗具合を確認しながら修理を行っています。

動いていればわざわざバラして確認しなくても結果は変わらないかもしれませんが、予備的に対応する場合も多いですし、細かく状態を把握していることが修理後の保証にもつながります。
OPTIMAは壊れやすいカメラだとして、取り扱いを敬遠されるお話もお聞きします。
確かにウィークポイントもいくつかあります。
一般的な通電不良に関係した故障の他にも制御不良となっている場合もあり、お預かりの内一割以下ではありますが基盤を含むシャッターユニットの交換も行っています。
他にもレンズに劣化が発生しやすいカメラとなっており、白く曇ったレンズは交換する以外に改善はできません。
また、カメラなりのままではプラスチック製ゆえの操作感が隠せないカメラでもあります。
カメラを直すことが基本ですが、気持ち良い操作感が伴うカメラに仕上げることも重要な作業として修理を行っております。

OPTIMA flashのみ現在お取り扱いを休止しております。
他、335から1535まで全て修理可能です。

Agfa OPTIMA 1035をはじめ、ご依頼いただいたお客様のご感想を掲載させていただいております。
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